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Farewell to the imaginary friends [育児]

 想像力のたくましいウータンには、2歳頃から大親友がいた。ウータンの大好きなフルーツから名づけられたその友達は、ウータンの頭から生まれた想像上の友達で、朝起きてすぐから食事の時間、保育園への通園時、お風呂のときも寝るときも常に一緒で、母である私はいつもその役をあてがわれて話をしていた。いつの頃か、このバリエーションでさら友達が増えて、こと細かにキャラ設定。誰々はうちの隣に住んでいてお兄ちゃんがいるとか、誰々はちょっと間抜けキャラとか。いつも迫真の演技でやっているので、想像力のたくましさには負けない私もだんだんそのキャラ達が見えてくるような錯覚に陥り(笑)、もう日常的にウータンのお友達が常にいる状態。あまりにも演技がリアルなので、本当に大丈夫なのかと心配になるときもあったが、疲れて相手にできないときは、しぶしぶ納得して「じゃぁ後でやって」と冷静に言うので、一応大丈夫なのかなと思ったり、結構大変な毎日でもあった。

 そんなウータンも4歳後半を過ぎると、彼ら(=私)の出番が少なくなってきて、今度はバレエスクールごっこに凝りだす。保育園のお迎えに行き、ある地点を過ぎると突如ウータンは別人に変身、私は今度は先生役をあてがわれ、弟は校長先生またはウータンの双子の弟または妹役をあてがわれ、家に着くと同時にレッスンが始まる。これはこれでまた大変で、夕食も給食の設定だったりといちいちなりきって話をしないといけなくて、疲れたときは拒否すると口をとがらせて怒る。そのくせ寝る時間まで先生役をするとまた怒って「お母さんに戻ってよ!」と言ったり、勝手な娘であった。

 あまりにも相手に疲れるので「週末だけは絶対やらない!」と宣言していた私であったが、3ヶ月前ほどにウータンは突然パタリとこうした遊びをしなくなり、ある日「もう違う名前の人になったりするのはやめたの」と言ってきた。理由を聞いても「もういやなの~」とだけ。突然解雇を命じられた私はほっと息をつきつつも、こうして少しずつ大きくなって、子ども時代が過ぎていくのかとやっぱりほんのちょっとだけさみしかったり。

 こうして「友達」とサヨナラをしたウータンは階段を一段上っていった。
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